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「科捜研の女」(テレビ朝日)のロケ現場にて

──

Part.3で、プロのキャメラマンは
「いかに芝居をつかまえるか」が大事だとおっしゃいましたが、
どういう意味でしょうか?

津田さん

キャメラマンの仕事というのは、
単に画を切り取るとか、凝った映像表現をすることではなくて、
心象風景を撮ることじゃないかなと思うんですね。
たとえば、そこにアップがひとつ入ることで、
観ている人が泣けるとか、笑えるとか。
「芝居をつかまえる」というのは、
そういうことを念頭において、一枚一枚に魂を込めて、
カットの展開、ひとカットごとの構成を考えていくことだと思うんです。

──

そういう姿勢が、結果としての映像に自然と結びついていく。

津田さん

そうです。そのためにまずは、
その作品がどういう内容の本で、
いまはどういうシーンを撮っているのか。
監督はそれをどう描きたいのか。
悲しみを強調したいのか、強さを描きたいのかということを理解していく。

──

ご自分で撮られた作品やシーンで、
気に入っているものを教えてもらえますか? 

津田さん

気に入っているものは、ないですね。

──

ないんですか。

津田さん

それがあったら、成長が止まると思いますよ。

まあ、撮っているときは精一杯やっているから、
納得はしていなくても、「精一杯やった」ということで、
自分にOKは出しています。
納得度は、平均50%とかじゃないですかね。

それはあくまで、自分の評価。
この仕事は、「他人がどう言おうが、自分の感覚がいちばんだ」
と思ってつらぬかないと、続けられないと思います。
自分にはどんなものが撮れるか、
逆に言うと、「自分にしか撮れないものを撮る」
という思いがあるからこそ、やくざにもならなかったし(笑)、
キャメラを回し続けられるんだと思います。

──

自分にしか撮れないものを撮る。

津田さん

そうですね。


津田さんは、映像の仕事とは別に、趣味で風景写真を撮り続けているそうだ。
使用キャメラは、なんと40年前に購入したもの。もちろん、フィルム。
「一瞬一瞬変わる表情を、テレビドラマを撮っている人間の発想で撮りたい」と津田さん。
自然の表情を観察することも、自分にしか撮れない映像を撮るための感性を養うことに
つながっているんじゃないかと語る。

──

キャメラマンは監督とのやりとりも多いと思いますが、
監督と意見が違うことも、当然ありますよね。

津田さん

ええ。キャメラマンの発想と演出する人の発想は、
当然違うので、いつもマッチングというのはありえない。
ただ、監督との関係については、僕はいつも、
その人の作品に対する想いや、
表現したい課題をどう描く人なのかを、見たいと思っています。
偉大な監督かどうかは関係ないですね。

──

津田さんは、若手の監督と組むことが多いですよね。

津田さん

どうもプロデューサーが、新人を監督デビューさせるときに、
「キャメラはつーやんで」と指名してくださるみたいで。

若い監督と組むときも、やっぱり、その人がどういうイメージを持っていて、
どうやって一緒に膨らませていくか。まずはそこからですね。

ただ、「それはまずい、やめたほうがいい」というときははっきり言います。
若い監督は、どうしても枝葉で遊ぶほうに夢中になって、
幹であるストーリーがひっぱられたり変わったりしちゃうんですね。
そうならないためにも、「違うんじゃないか」と言うときは言います。

それが実は難しいところで、
これから伸びる人の芽を摘んじゃいけないと思うから、
預かるのも、責任がありますよね。


森本浩史監督(写真右)の意向を聞きながらレンズをのぞく津田さん

──

ご自分で、また役者をしてみたいとか、監督をやってみたいとか。

津田さん

役者は、ときどき製作部に頼まれて出ることがあるんですよ。
悪人役とか親分役とかに、僕の顔が使えるらしくて(笑)

──

わかります。あっ、納得するところじゃないですね。

津田さん

でも、それよりも、もう10年くらい前から自叙伝を書いているんで、
宝くじが当たったら、それを誰かに脚本にしてもらって映画化したい!
それが、いまの僕のいちばんのロマンですね。

──

ええっ?自叙伝を?

津田さん

そう、だって、僕の人生、子どものときの思い出だけでも
けっこう波瀾万丈やと思ってるんで(笑)
(注:津田さんの子ども時代については、part.1をどうぞ)

──

たしかにそうですよね。

津田さん

子どものときに一緒に過ごした、組の若い衆の「縦の線」、
それから、僕がこの業界に入ってから感じている「縦の線」って、
似ているところがあるなあ、と思っていて。
そういうところから、書きたい意欲が湧いてきて、
ずっと書いているんです。
いま、たぶん広辞苑くらいの厚さになっちゃったんだけどさ(笑)

──

すごい! そのクライマックスって、どういう場面なのでしょう?

津田さん

それは、できあがってから、映画館で観てください!

──

あ、そうですね(笑)。
今日は楽しいお話をどうもありがとうございました。
これからも、ご活躍をお祈りしています。

完

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